『偽装請負 労災死民事裁判』


裁判傍聴支援

飯窪修平さん(享年22歳)


22歳の誕生日の翌日の事故、その日から意識不明のまま3カ月間を経て、この世を去りました。ご遺族は事故の後、勇士の裁判を知って、東京地裁での判決(2005.3/31)を聞きに来て下さっていました。この時、修平さんの民事裁判を決意されたそうです。今回の上段裁判(2007.4/12)の報告会にご両親とお姉さま、3人がいらして、お話を聞かせていただきました。
いよいよ証人尋問が始まるそうです。裁判期日情報を掲載致します。傍聴席からの力強いご支援をお願いします。
(2007年.4/12 上段のり子)

【原告】飯窪慎三さん、可代美さん、連絡先:shuhei0801@hotmail.co.jp

裁判が終結しました。(東京地裁判決 確定!!)2008.3
東京地裁判決の日から2週間、控訴期間に被告2社からの控訴はありませんでした。
原告からも控訴をしませんでした。飯窪さんから寄せられた「終結にあたって」(以下に掲載)の言葉を拝見して、私には原告としての気持ちが痛いほど伝わりました。
失った者はもう決して戻ってはこないけれど、被告の責任を認めてもらったことと、今後の業界に対する思いとで結ばれていました。労働者を区別することなく大事に扱ってほしい、この気持ちはどの家族にも共通の永遠の思いです。

傍聴に来て下さった方、ネットから支援して下さった方、応援してくださった皆様、
大変ありがとうございました。
(2008.3/10)

【原告 飯窪さんから】「裁判終結にあたって」

判決: 平成20年2月13日 東京地裁 勝訴
東京地裁 勝利判決おめでとうございました!!

夕方のテレビから報道が始まっています。 
原告・遺族の方々はまだ東京ではないかと思います。
最初の報道は目にすることができないでしょう。
偽装請負の状態だったことが認められていることが、とても良かったと思いました。
自分の東京地裁判決の時を思い出しました。2社が関わって粗末にされてしまった命、心よりご冥福をお祈りします。(2008.2/13)

up 2008.2/13 (TBS)
労災事故で死亡、派遣先に賠償命令
派遣先の工場での労災事故で死亡した男性の遺族が賠償を求めた裁判で、東京地裁は、「派遣先にも安全配慮義務がある」として、総額5100万円余りの賠償を命じました。・・5年前、人材派遣会社から缶詰工場に作業員として派遣された男性(当時22)が、工場の中で労災事故にあい、・・両親が派遣先の会社などを相手取り、総額1億9000万円余りの賠償を求めていたものです。

up 2008.2/13 (NHKニュース) 
偽装請負 委託会社に賠償命令
判決で、東京地方裁判所の山田俊雄裁判長は「飯窪さんは工場の機械を使って仕事をしており、実質的に大和製罐の管理の下で働いていた」と指摘し、違法な偽装請負だったことを認めました。・・川人博弁護士は「偽装請負の場合、労災事故が起きても派遣先の大企業が責任逃れをすることが多いが、判決は直接の雇用契約がなくても、事実上の管理の下にあれば責任が問われることを明確に認めており、意義のある判断だ」と話していました。
→ 判決ニュース、続きはこちら


〜〜原告から〜〜
【平成19年11月21日(水)の結審・最終弁論】
午前11:00〜 東京地裁 611号法廷 で始まりました。最終弁論では、これまでの言い分をまとめた最終準備書面を、原告と被告の双方の代理人から提出して、それを裁判長様が確認しました。さらに、私は最終意見陳述書を提出し、それを法廷で朗読しました。その内容は別添のとおりです。
「原告・最終意見陳述書」

【平成19年8月29日(水)証人尋問】から。
午前10:00〜 東京地裁 611号法廷
証人: 原告 (被災者の父、飯窪愼三)
証人: 被告 大和製罐(株)東京工場の製造第1課長(E)
※証人に立った原告ご本人からの報告です。 →こちら

【平成19年6月18日(月)被告側証人尋問】
※今回は原告(父・飯窪愼三さん)からの感想です。
被告、大和製罐は工場の中で起きた労災事故については、「誰も見ていなかったので何もわからない」という主張をしています。事故が起きた時は、瞬間的なので見ていないことはありますが、何もわからないはずはありません。
また、人材派遣会社のテクノアシスト相模は、労働基準監督署へのこの労災事故の報告書では、脚立からの転落事故だと報告していますが、裁判が始まってからは、脚立からの転落事故ではないと主張しています。急いで報告を書いたため良く調べずに転落事故として書いてしまったそうです。
→続きはこちら

【平成19年4月23日(月) 被告側証人尋問】
「テクノアシスト相模」の派遣社員で、事故当日3号ラインでペアーを組んでいたA氏の証言は、書かれたメモを見ながら下を向いてのものでした。「テクノアシスト相模」の社長のB氏は、川人弁護士の尋問に何回か、答え無しの場面がありました。

 
〜〜〜〜以下、飯窪さんの資料から。
缶製造工場内の労災事故により死亡した派遣労働者の両親が訴えた民事裁判
当事者
被災者 山梨県南アルプス市 飯窪修平(当時22歳)
原告 山梨県南アルプス市 飯窪慎三、飯窪可代美(被災者の両親)
被告 (株)テクノアシスト相模、大和製罐株式会社、室町正実・克代
被災日時 平成15年8月2日(土)12時15分〜47分の間
被災者死亡日 平成15年11月8日

事故の状況及び提訴の理由

 床から188センチの高さにあるライン上を流れる缶蓋を検査していました。足場は、高さ90センチ、足の踏み面40センチ四方の狭い台の上でした。事故の日、そのラインは6人で稼動させ、昼休み時間は3人で動かしていました。昼休みの時間に作業をしていた被災者が、踏み台の近くで倒れているのを、昼休みを終えラインに戻った大和製罐の社員が発見しました。普通ならば、同じ昼休み時間に、近くで作業していた社員が発見するはずなのに、なぜか昼休みを終え、ラインに戻った社員が発見したそうです。会社側は誰も見ていなかったので、何もわからないという説明でした。何度も工場へ聞きに行きましたが、その都度、説明が違っていて納得できるものではありませんでした。

事故に遭った日の前日8月1日は、修平の22歳の誕生日で、私は電話でお祝いを伝え、子供の近況を聞いた時、次の言葉がありました。「アルバイトで大和製罐の工場で働き、缶の蓋を検査する仕事をしている。狭い台の上で立って検査をしている。落ちそうでこえーよ。」この言葉が今でも耳にこびりついています。修平の最後の言葉となってしまいました。
「何故に会社側は、転落する恐れがある狭い踏み台の上で、長時間作業をさせたのか、会社側の責任を明確にしたい。」
「派遣やアルバイトなどで働く人が多くなって来ていると言われていますが、修平もその一人でした。修平と同様に、正社員に比べると弱い、不利な条件で働かなくてはならない立場に置かれている人が、安全に仕事ができて、労災事故に遭わないように、会社側の安全配慮義務違反に対する責任を明確にしたい。」というのが提訴の理由です。


テクノアシスト相模と大和製罐を訴えた裁判

私達の弁護を引き受けていただいている川人博弁護士は、その著書で次のように指摘しています。「労働者派遣法による合法派遣の場合にも、実際上、労務管理上の責任体制があいまいになり問題も多いが、偽装請負の場合には、労働者派遣法による規制を遵守する法的自覚すら欠如しているため、よりいっそう使用者の安全配慮義務違反が重大なものとなる。」と述べています。

事故現場の同じ製造ラインで、正社員が作業する場所(缶蓋をラインに投入する場所)は足の踏み場が何倍も広く転倒防止の柵も設置され、足の踏み台も固定してありました。修平たち派遣社員は、足の踏み面が40センチ四方の広さしかない、転落防止の柵もない、固定されていない踏み台の上で1日中、検蓋作業をさせられていました。

被告は缶製造会社と人材派遣会社であり、偽装請負を行っております。まさしく修平は派遣労働者であるがために、安全配慮を欠いた状態で仕事をさせられて、労災事故に遭ってしまいました。製造工場内の仕事をする場所(職場環境)は、正社員も派遣社員も平等であるべきだと考えます。このようなことがまかり通ってよいはずはありません。そこで、同じ派遣労働者として働いている方や、その御家族、関係する多くの方に、私達の裁判について知っていただき、関心を持っていただきたいため、この裁判の傍聴をお願いする次第です。また、裁判を傍聴していただくことにより、世間の関心が高いことを裁判長にアピールができます。裁判の傍聴が派遣労働者の職場環境改善に、間接的ではありますが繋がるものと確信しております。ぜひとも裁判の傍聴をお願いします。

『裁判の経過』
平成15年10月2日 相模原労働基準監督署から労災認定されました。
平成17年11月9日 東京地方裁判所に訴状を提出
平成17年(ワ)第23367号 損害賠償事件という事件名とされました。
平成17年12月21日 第1回口頭弁論が611号法廷で行われました。
平成18年2月3日 第1回目の弁論準備期日が行われました。
平成18年4月3日 (株)テクノアシスト相模の代表者と、実質的代表者(弁護士)の個人責任を追加提訴しました。
※「テクノアシスト相模」代表者は弁護士の妻、実質的代表者は現役の弁護士
平成18年9月28日 進行協議期日
裁判官と共に現場の工場で修平の業務を体験しました。
平成19年2月16日 第9回目の弁論準備期日が行われました。


〜〜〜毎日新聞から。2005年(平成17年)11月10日(木曜日)
長男が労災死 山梨の両親 
「違法派遣」と損賠提訴「安全配慮義務違反は明白」


労災で03年に死亡した男性(当時22歳)の両親が9日、「安全対策を怠った」として雇用元の業務請負会社と派遣先の容器製造会社に計1億4200万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。両親側は「業務請負を装いながら実態は違法な派遣」と主張。「同じ立場の人が労災事故にあわないよう、会社の責任を追及したい」としている。
提訴したのは、山梨県南アルプス市の飯窪慎三さん(56)と可代美さん(53)。訴えなどによると、長男修平さんは03年7月29日、工場構内請負業者の「テクノアシスト相模」(神奈川県相模原市)に雇用され、同市内の「大和製罐」(東京都中央区)の工場で、大和側の指示を受けて缶に不具合がないか検査していた。8月2日、1人で作業中に高さ90センチの脚立から転落し、11月8日に死亡した。相模原労働基準監督署は業務災害と認定し、遺族への補償金などの支給を決定した。
当時の労働者派遣法では、製造業の現場への人材派遣は認められておらず、テ社側は大和側と業務を一括して請け負う契約を結んだ。しかし、検査作業について長男が大和側から直接指示を受けた場合には派遣(偽装請負)に当たることから、両親側は「違法行為の結果、両社の安全配慮義務違反がより重大になった」と主張している。【武本光政】
大和製罐の話 現段階ではコメントは差し控えさせていただきたい。
テクノアシスト相模の話 コメントは出せない。弁護士に任せている。